わいワイ がやガヤ 町コミ 「かわらばん」

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2014年2月10日抗がん剤治療という選択 (その1)

「今晩のおかずは魚にしようか、それともお肉?」そんな日常のささやかな選択から、進学や就職、結婚といった人生の岐路に立たされる大きな選択もある。そう考えると、人生は選択の連続かもしれない。
夫が抗がん剤治療を選択したことと前者との違いはひとつ。やり直しの時間や歳月を持てないことである。選択は正しかった、間違っていたという次元で語ることのできない、まさしく命を懸けた人生最後の選択であった。
究極の自己選択の中での夫の生き方を、2回に渡りなぞってみたい。

霊芝、核酸、フコイダン。ビワの葉、あわび、しじみのエキス。全国各地の天然温泉水にミネラル水。〝がん〟と名のつく書籍の数々。日本津々浦々の名医や病院紹介。最新の治療法。…etc.ありがたいことに病床の夫の元には、知人や友人からの心づかい、知恵の結集ともいうべきモノや情報がたくさん届けられた。
「がんに打ち勝って欲しい。」
「がんと共存しながらも一日でも長く生きて欲しい。」

陣中見舞い?! ありがたや マンパワーの支え。

陣中見舞い?! ありがたや マンパワーの支え。

そんな皆さんの気持ちに支えられて、心から感謝の念を抱いた。と同時に、そこから何を取捨選択してがんと向き合っていくのかという課題が与えられたことも確かであった。
〝治療をしない。〟
一見、消極的に聞こえるが、これぞどんな決断よりも勇気のいる選択肢のひとつとして存在していた。

「先生ご自身や家族の方が、がんになったらどうしますか。」
夫はぽつりと主治医にこんな質問を投げかけた。がんに効くといわれている多種多様なモノへの信憑性を知り得たかったのだろう。
「海野さん、確かな実績や実証があれば、僕も積極的に取り入れますよ。」
真っ向から否定もしない。しかし、日進月歩の勢いで進歩する医学の中に身を置く医師の言葉は大きく重たかった。賭けでもあった。この一言で、夫は抗がん剤治療を選択した。
抗がん剤治療がどういうものであるのか。それに対するリスクはどんなものなのか。主治医や化学療法認定看護師からこと細やかな説明があった。机上の理論?!ではないけれど、人の身体は千差万別。実際に自分の身体にどんな変化をもたらすのかやってみないとわからない。そんな未知への不安も大きかったにちがいない。

整然と整列。抗がん剤 と その仲間?!たち。

整然と整列。抗がん剤 と その仲間?!たち。

「生きてください、海野さん。半月、半年のスピードでがん治療は目覚ましく発展していますから。」
命を懸けた自己選択をそっと後押ししてくれた医師の言葉。けっして推測ではない、現在進行形の表現がありがたく心に染みた。

ある日、ふとテーブルの上に、百円ショップで買ってきたであろう薬分けボックスを見つけた。そっと蓋を開けると、中には整然と抗がん剤が並んでいた。

「…生き抜いてやる。」

夫の静かなる闘志が聞こえてきた。(続く)