先日のサッカーワールドカップ予選で、日本代表の長友選手が練習中に脳震盪を起こしたため、オーストラリア戦を欠場することになりました。意識はしっかりしており回復トレーニングも出来ていたようですが、どうして試合に出てはいけなかったのでしょうか?たかせクリニックの高瀬先生にお聞きしました。
「脳震盪とは頭部への衝撃で脳が揺さぶられて起こる一時的な脳機能障害であり、単に意識をなくすことだけを指すのではありません。頭痛や吐き気、めまい、光や音に敏感になるなど症状も多岐にわたります。安静にしていても症状が続くようなら、すぐに受診が必要です」
「柔道やボクシング、ラグビーなどのスポーツは脳震盪を含む脳へのダメージが〝くり返される"可能性が高いことが特徴です。脳へのダメージがくり返されると、2回目以降の脳への衝撃がそれほど強くなくても脳の腫れや急性硬膜下血腫(脳を覆う硬膜と脳の間に血液が溜まる症状)を引き起こし、致命傷となることがあり得ます。スポーツ中に脳震盪を起こした場合は安静を保ち、競技から離脱すべきであるというのが最近の常識です」
「成長途中にある子どもの脳は大人より衝撃に弱いので、さらに注意が必要です。アメリカでの研究によると中学女子サッカー選手に脳震盪が多発しており、その割合は高校や大学レベルのサッカー選手で報告されるよりも高かったそうです。若い選手は脳が未成熟で首の筋肉も弱く、ヘディング技術が未熟なことも脳震盪の発生に影響を及ぼしているようです。多くの選手が脳震盪の症状を自覚しながらも競技を続け、〝2回目の脳震盪リスク"を高めていることも問題視されています。脳震盪のくり返しにより『脳の老化が早まる』『アルツハイマー症発症の危険性が高まる』ともいわれています。頭部の打撲によって脳震盪が疑われたら、すぐに専門の病院を受診するよう心がけてください」
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