サンパウロの街でベビーカーを押しながら歩いていると、「Bebe~!Que lindo!!(まあ、かわいい赤ちゃんね!)」と必ずと言っていいほど声を掛けられます。実際日本でももちろん同じようなシーンがあったのですが、違いは「若い男性から年配のおばあちゃんまで、いろんな人から複数回声を掛けられる」ということでしょうか。先日、2歳くらいのお人形のようにかわいい女の子から「わー、かわいい赤ちゃんね!」と声を掛けられたときは、「いやいや、あなたの方が何千倍もかわいいですよ」と突っ込みたくなりました。
ブラジルの人たちは、子供好きの人がとても多いと感じます。スーパーのレジで子供と並んでいたら列を譲ってくれたり、レストランの待ち時間に店員さんが子供と遊んでくれたり、パン屋さんでぐずる子供に小さなクッキーをくれたり、「Obrigada!(ありがとう)」というシーンに何度も出会いました。
そんなブラジルには、「ババさん」と呼ばれている人がたくさんいます。いわゆるベビーシッターのことで、大体子育てが一段落した50~60歳代の女性がババさんとして働いています。私も次男の面倒を見てもらうために日系人のエリーザさんという方に来てもらっているのですが、お願いした当初は不安で仕方ありませんでした。知らない人に子供を頼んでもいいのか、きちんと責任もって見てくれるか、子供はなつくのか、そして子供を預けて自分の用事を済ますという私自身のうしろめたさ…いろんな思いがありましたが、思い切ってお願いすることにしたのです。
エリーザさんに来てもらうようになってから5ヵ月経った今、そんな不安はどこかに消えてしまいました。子供自身がエリーザさんととても楽しく遊んでいるのはもちろんですが、一番良かったと思うのは、「子供の成長を一緒に喜んだり悩んだりできる人」を作れたこと。今日はつかまり立ちができた、今日はあまりミルクを飲まなかった、といった日々の些細なことを近くで共有してくれる人がいるということに(しかもブラジルで!)、改めてありがたいと感じました。次男が歩けるようになった時には、エリーザさんと二人で声をあげて喜びました。
次男にとっては「ブラジルのおばあちゃん」。私自身にとっては「ブラジルのお母さん」。なかなか気軽に日本に帰れないこの遠く離れた国で、かけがえのない出会いができたことに感謝!